相続と家族の心
「うちは兄弟仲が良いから、相続で揉めることはありません。」
相談の場で、よく耳にする言葉です。
しかし実際には、仲の良さだけでは解決できない現実が相続の場面では立ちはだかります。
お金のこと、慣習のこと、そして“それぞれの生活”。
両親亡き後の相続は、感情と現実が交差する、もっとも難しい局面なのです。
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思いがけない別れから始まる相続手続き
ある日、お母様が急に倒れ、そのまま帰らぬ人となる──。
病院からの連絡に駆けつけたご家族は、ただ立ち尽くすしかありませんでした。
お通夜や葬儀が終わり、ようやく気持ちを落ち着けようとした時に始まるのが、相続の手続き。
銀行口座の凍結解除、土地や家の名義変更、税金の確認…。
感情の整理ができないまま、次々と押し寄せるように手続きが迫ってきます。
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「兄弟だから分かり合える」…はずが
最初は「兄弟だから、きっと分かり合える」と思われていても、いざ話し合いが始まると状況は変わります。
• 「長男だから責任を果たしたい」
• 「遠方に住んでいるから公平に分けたい」
誰も悪くない。ただ立場が違うだけ。
けれど、その違いが積み重なると、兄弟の心の距離まで広がってしまいます。
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両親亡き後の相続で起きやすいトラブル
相続の現場では、こんな「落とし穴」で関係がこじれることが少なくありません。
• 「長男だから」という暗黙の慣習
• 親の介護を担った/担わなかったという不公平感
• 「実家を残したい」vs「換金して分けたい」という意見の衝突
• 配偶者や子どもたちが口を出すことで起こる二次的な対立
どの意見も正しいからこそ、話し合いは難しくなるのです。
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行政書士ができること──心の通訳
行政書士として私が大切にしているのは、**手続きの代理だけではなく「心の通訳」**です。
たとえば、
「長男だから当たり前です。」ではなく、
「これまでご両親を一番近くで支えてこられた事実とお気持ちを、大切に扱ってもいいですよね。」
このように、少し言葉を置き換えるだけで、相続人同士の心が和らぐことがあります。
書類を作るだけでなく、安心して話し合える空気を整えること。それが、行政書士にできる大切な役割だと考えています。
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相続の本当の意味
相続は、単に遺産を分けるためのものではありません。
残された家族がこれからも支え合い、安心して前を向いて生きていくためのものです。
兄弟だからこそ、ぶつかることもある。
でも兄弟だからこそ、最後には分かり合える。
“仲が良い”を“仲の良いままの未来”につなげること。
それが、私が相続手続きをお手伝いする中で、もっとも大切にしている想いです。
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まとめ
両親亡き後の相続は、感情と現実が複雑に絡み合う場面です。
仲が良い家族であっても、思わぬトラブルが生まれることがあります。
だからこそ、第三者である行政書士が入り、手続きだけでなく心の整理も支えていくことが大切です。
玉野行政書士事務所では、**「書類ではなく、想いをつなぐ相続」**をモットーに、家族の未来を守るお手伝いをしています。
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